「H&B(ヘルシー&ビューティー)Vol.3」が2016年6月10日に発売されました。今回はエイジングケア特集ということで、歌手の加藤登紀子さんと共に美と健康に関する様々なお話しをさせていただきましたので、その時の対談の模様をお伝えします。

ヘルシー&ビューティーVo.3

ヘルシー&ビューティーVo.3


【スペシャル対談:加藤登紀子】
スペシャルゲスト 加藤登紀子さん(歌手)
聞き手 美容家 富川祐美子さん(ゴッテス代表)
「元気の秘訣は、人と会うこと、歌うこと」

──富川

デビュー50周年おめでとうございます。昨年末、ほろ酔いコンサートを拝見させていただきましたが、子供の頃に見ていた加藤さんのイメージそのままで驚きました。歌手って、体力的に相当ハードなお仕事だと思うのですが、やはり健康には気を使っていらっしゃるのでしょうね。

──加藤

それほど、特別なことはしていないんですよ。強いてあげれば週1回のストレッチと水シャワーを浴びる、あとは時間がある時はサウナ。かれこれ20年は続けています。そうそう、スタッフからはこんなこと言われていますね。『お登紀を殺すには刃物はいらぬ。3日休みを与えればいい』なんてね(笑)。どうも、私は動き回っていないと死んでしまう回遊魚みたいですね。

──富川

では、加藤さんにとって歌うことは仕事でもあり、健康法でもあるのですね。

──加藤

歌うことが私の生命の源になっているのかもしれません。

──富川

だから、聞く我々も音楽によって癒されたり、元気が湧いて来たりするのですね。

──加藤

その通り。すべての人の持つ集中力が一つになった瞬間のエネルギーたるや。何ていったら良いんだろう? 人間の細胞まで影響を及ぼすほどくらいの力がある。そんな気がしてします。

────内側から細胞が輝くそれが本当の健康美────

──富川

すごく良くわかります。私は、長年、美容のお仕事をしているのですが、真の美しさって外面だけのお手入れでは、手に入れられないと痛感しています。心と身体は表裏一体。見た目の美しさと健康、精神性はすべて比例してるのです。マッサージやお化粧品でお手入れする外面美容と食やデトックスを意識した内面美容、そしてストレスを開放し、明るく豊かに生きる精神美容。これらすべてが完結してはじめて健康でいられるのだと思っています。今、お話をうかがって加藤さんは歌うことが精神美容につながっているのだと感じました。

──加藤

だから、3日休むと体調が悪くなるのね(笑)。でも、本当にそうだと思う。私は、嬉しいなと感じることをしている時は、まったく疲れを感じないのね。だから、コンサートを終えたその足で、農園に駆け付け農作業したり、料理したり。特に料理は好きですね。いい素材を集めてみんなにおいしいものを食べてもらうっていうのは音楽と似ているでしょ?いい音楽にたどり着きたいとみんなで向かっていく、アンサンブルっていう関係はまるでお料理みたい。

──富川

わかります!人って、気持ちいいいと感じた瞬間、細胞が輝くんですよね。恋をすると女性がキレイになるのも、細胞の輝きが溢れだすということなんでしょうね。私の歌って「生きましょう」って言う歌が多いんですね。どの歌もすごく強いの。だから、どんな瞬間にも生きるということの素晴らしさを感じて届けるようにしています。

────愛を耕す者たちよ鴨川自然王国のこと────

──富川

先ほど農園のお話が出ましたが、加藤さんはオーナーを務めていらっしゃる「鴨川自然王国」のお話をお聞かせいただけますか。

──加藤

鴨川自然王国のベースとなる農業は75年に夫の藤本が始めたのですが、当時は農園というのではなく、農地を一部借りてのささやかなスタートでした。

──富川

きっかけは?

──加藤

当時、国は、有機農業はやめようという政策に踏み出していて有機農家への風当たりの強い時期でした。そんな中、彼はビジネスとは違う視点で、自身が理想とする農業をやりたかった。お金を得るのが目的ではなく、鶏の飼育や農産物の加工、さらにトラスト運動などを組み合わせ、会員が作り、食べて楽しむ農業をやろうと思ったのです。81年に、鴨川に良きご縁が出来て農業が中心のコミュニティが完成したのです。夫を亡くしてポッカリ穴の空いていた私の変わりに、土を耕したり、野菜の栽培、家畜の飼育をしたりしてくれて。娘婿が現在の「鴨川自然王国」を盛り立ててくれています。

──富川

生きることは、食することに他なりませんからね。大自然の恵みを受けた生命力の高い、食物を食べることで、人間の五感は磨かれていくと思うのです。

──加藤

そうなのです。生きることはとどのつまり土を耕すことです。農業は、農産物を単に栽培するのではなく命を耕すもの。私の歌に「愛を耕すものたちよ」というのがあるのですが、これは人はみんな心に土を持っている。そこで命を育て、思い出を重ね、涙と喜びの歳月を耕しています。その心の土に大切な愛を耕しましょうという祈りの歌です。

──富川

不安な時代、悩んでいる若い人への応援歌であるとともに、私たちの年代にも大切なことを思い出させてくれる歌だと思います。どうぞ、これからも音楽を通して私たちに生きる力を与え続けてください。今日はどうもありがとうございました。

20160708